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選択的夫婦別姓について思うこと

はじめに

元SE→元市役所職員の私が「選択的夫婦別姓」について、システム面から少し思うところがあるので書いてみたい。それ以外の観点による議論は、既に出尽くした感があるので、ここでは省略する。まず、前提としての私の旧・公務員生活の環境は以下の通り。

戸籍システム、もう止めません?

姓や家族を管理するのは戸籍制度であり、夫婦別姓を語るうえで当然のように現行制度を踏襲した議論が多いが、私はそもそも戸籍制度そのものに疑問を持ち、存続意義を考え直すべきだとするスタンスだ。

全世界でも稀に見る戸籍システムは、もはや限界を迎えていると言っていい。私の結論はたったひとつ「廃止」だ。

LGBTQの議論ひとつを取ってみても、また、独身主義の私自身としても、戸籍制度のグロテスクさが受け入れがたい。「子を産む可能性がある」タイプの婚姻・パートナーだけを承認するという国家の傲慢さがたまらない。「家父長と継承」を至上命題としたような本制度には疑問があるし、見直すべきタイミングに来ていると思う。

人生100年時代を迎え、私自身もパートナーについて考えることがあるが、正直、気楽な女友達とパートナーシップを結び、税の控除や扶養関係で支え合いたいと思ったりする。子供もいないので相続もさせたい。そして、このパートナーシップに対して、性的な恋愛関係が暗に前提とされているように感じるのもやや気持ちが悪い。LGBTをはじめとして、アセクシャル・ノンセクシャルなど、世の中には多様な性があるのにも関わらず、この時代遅れの制度は、まるでその存在を無視するかのような冷酷さだ。人生は長くなった。性をいつしか通り越すこともあるんじゃないだろうか。性的な愛がなくとも、親愛があればいいんじゃないのか。私自身にとっては、ずっと求めるものが制度からこぼれ落ちスルーされ続けており、憤りを感じずにはいられない。

さて、言いたい主張は書いたので、ここからは論理的に「廃止」するべきだと考える理由を述べていきたいと思うが、その前に、戸籍システムという存在について前提を共有しておきたい。少しシステム寄りの話になっているので、苦手な方は、この章を読み飛ばしてもらってもいいと思う。

そして、はじめに謝っておこうと思う。この記事、私は相当口が悪い。空虚な答弁ばかりが繰り返され、選択的夫婦別姓の実現どころか後退した政府の姿勢に怒っているのだ。

住民システムと戸籍システム

3つのシステム

住民システムと戸籍システム、それからマイナンバー??どれも氏名やら住所やらの情報を管理しており、似たようなものじゃないの?と思うかもしれないが、これらは決定的に異なる。

住民生活を扱う基礎自治体(市区町村)では、主に次の3つのシステムがある。(1)住民システム・・・基幹システムとも呼ばれる(2)戸籍システム(3)全国住基ネットシステムだ。(1)住民システムは単1システムで構成されていることは少なく、たいてい幾つかのシステムで連携して運用されている。独自施策や犬の登録など細かいものは、自治体規模によってはExcelで健気に頑張る場合も多い。(Accessを組める人材はほぼいない)

それぞれのシステムが軸としてしているものは、(1)住民登録地において住民番号(マイナンバーは属性として持ち関連項目のみ全国連携する)(2)本籍地において筆頭者管理(3)マイナンバーで全国一律管理となる。

自分の戸籍を確認する機会はあまりないものだが、住所地=本籍地とは限らない。本籍地は縁がなくとも何処にでも置ける。一説では皇居に置いている人間がかなりいると聞く。つまり北海道に住んでいながら、戸籍は沖縄なんてこともあり得る。なんじゃそりゃ。

引っ越しなどで自治体間で人間が異動した場合、旧自治体の(1)から登録が抹消され、新自治体の(1)に新規登録される。マイナンバーを軸とした(3)はそのままで、属性としての住所地だけが書き換えられることとなる。この場合も、(2)戸籍システムは、住所履歴が追記されるだけで、自治体間で連携しない。(2)の戸籍が自治体間で動く時は、婚姻・離婚・養子縁組・転籍などのタイミングで戸籍を管理する「本籍地が変更となるとき」だけだ。こんな場合、旧自治体にはそれまでの履歴を記した戸籍がOFF化されて残る。つまり、戸籍は版管理されている。

具体的には、新旧自治体で届け出を元に、手作業で登録無効化・新規登録が実施される。データを飛ばすとか、そういうことはできない。システム互換もなければ、ネットワーク化されていない。他自治体で提出された手書きの婚姻届などに対して、異字体(複数の漢字候補があるもの)などの確認のためには、未だに「電話」で問い合わせが来る。個人個人にとっては特別な結婚・離婚・出生・死亡だが、自治体業務としてはバカにならない数が「電話」で処理されていく。アホか。

システム調達の問題点

全国には2018年10月現在、1,741の市区町村があるらしい(総務省HPより)。まず驚くかもしれないが、この数のそれぞれの自治体が、個別にシステムを調達している。つまりバラバラである上に、それぞれに市区町村独自のカスタムをかけている。メーカーが数社に限られているため、システム自体は数パターンの展開だが、このカスタムが曲者で互換性を損ね、他社への乗り換えや、全国のクラウド化を難しくしている。沼だ。つまり(3)の全国住基ネットシステムだけが、全国で統一された仕様となる。マイナンバーはここに含まれるが、このシステムの厄介なところは、別にこのシステム上で作業をするということがない・・・そういうインタフェースがそもそもほぼない。つまり(1)の基幹システム経由で異動をかけ(3)に流して夜間バッチで反映させるという流れになる。簡単に言えば、現時点では単なる情報のプールに過ぎない。

コロナ禍の経済対策として、マイナンバーを主軸とする1人10万円配布のアホ事務が話題になったが、当然なのである。各自治体はマイナンバーを軸に世帯を管理していない。あくまでマイナンバーは連携するための属性のひとつだ。やりたきゃ、国が直接やれと言いたいところだが、(1)→(3)全国住基ネットシステム連携にはどうしてもタイムラグがある。死亡者に届いてしまうリスクや、転居をリアルタイムで追えない以上、自治体が手作業で抜いたり宛先を更新したり、泥臭い作業をする他ない。個人に置き換えると引っ越しや出生・死亡は稀なことかもしれないが、管理側としては、結構人間は異動しちゃうのだ。

この時点でうんざりしていては駄目だ。日本は本当に終わってる。白目を剥きそうな状態になっている。まともなSEなら耐えられず卒倒してしまうカオスさだ。ぶっちゃけ、全部作り直した方が早いだろうし、マトモなものができるだろう。うろ覚えだが、マイナンバーのくだりは、確か基礎年金番号→住基番号→マイナンバーで3度目にも関わらず、この体たらくだ。シリアルIDの統一さえ、未だ一度も成功していないのが日本だ。20年前から既に終わってる。

法とテックの両面から運用を含めた大型システムを組める人材がおそらく日本にはいないのだろうと思う。完全に詰んでる。

戸籍を廃止した方がいい理由

1)大量死時代が始まる

戸籍が必要となる一番のシーンは、身内の誰かが死亡した時だ。数年前に話題となった「未来の年表」では、死亡者数は2039-40年で年間167万9,000人とピークを迎え、全国での火葬場不足が予想されている。現在のコロナ禍の影響もまた大きく、時期が前倒しされたり、死亡者数が増加する可能性もある。

相続の手続きでは死亡者にまつわる全ての戸籍が必要となる。ここで問題となるのが、転籍や結婚を機に、本籍地を動かしていたりする場合だ。

住所地=本籍地でない場合に、どのように戸籍を入手するかということだが、現地に行くか、郵送請求ということになる。申請書はDLできるが、添付する身分証明書のCOPYの他には、「定額小為替」という聞き慣れない小切手のようなものが必要になる。これはわざわざ郵便局へ出向かなければ入手できない上に、さらには申請時には、幾ら必要になるか厳密には分からないことも多い。

戸籍は複雑で、故人のすべての流れを把握するために、複数戸籍(過去の戸籍)が必要になる場合がある。婚姻・子の出生歴によって最終戸籍だけでは足りないことも多く、その場合は当然だが料金が異なってくる。そして、さらに全ての戸籍(出生~死亡)がひとつの自治体にあるわけではない。

これは全ての公的料金の徴収について言えることだが、銀行振込が直接できない日本の行政システムは、ここにも大きな問題を抱えている。未だにコンビニ支払いができることを便利だろうと高らかに宣言しているが、笑わせないでくれと言いたい。ネットで振り込めるように改善しろ。コンビニさえも行きたくない。

定額小為替での支払いを含む郵便でのやり取りを最小限に抑えるために、私の勤めた自治体ではあらかじめ戸籍の郵送請求をしてもらう時点で概算見積もりを出すこともあった。料金の過不足を発生させないためだ。その場合、担当者は申請も出されていない時点で戸籍をざっと確認していたようだが、これはハッキリ言って二度手間どころではないし、厳密にはこの閲覧作業自体が問題を孕んでいる。これから迎える高齢者の大量死時代にこれでは対応しきれないだろうと思う。

また、戸籍請求の料金もバカにならない。古い戸籍は数千円単位になることも多いし、死亡の場合原本のCOPYでは納得しない金融機関等もあると聞く。

ひと一人が亡くなると、葬祭費を始め、保険の償還請求、そして金融機関など戸籍が必要となるタイミングが多い。戸籍集めがまずドラクエ&戸籍を持ってドラクエみたいなことになる。ただでさえ、しんどい時に、この作業は厳しい。

2)統計がとれない

私が大きな問題だと考えているのはこれだ。正しい家族関係が把握できないために、統計基礎数が取れない。これに尽きる。丁寧に説明していきたい。

(1)住民システムと(2)戸籍システムが別モノだと言うことは前に述べたが、具体的にどのような項目がどう管理されているのかを詳しく見ていきたい。

まず、各自治体における(1)住民システムでは、家族関係を世帯主から見た相対的な「続柄」で把握している。政府が考える一般的(笑)な家族モデル親子4人(夫婦&息子&娘)だと、次のように住民管理されている。

例1)※氏名(続柄・性別)の順で例を示す。
A(世帯主・男)、B(妻・女)、C(子・男)、D(子・女)

さて、父親が単身赴任していたらどうだろうか。住民票を動かしていなければ、上記と同じだが、動かしていれば次のようになる。

例2)
【自治体X】A(世帯主・男)
【自治体Y】B(世帯主・女)、C(子・男)、D(子・女)

さてさて、さらに田舎でありがちな複雑な3世帯家族を考えてみる。じぃじ・ばぁば世帯(A&B)に、婚姻した兄弟(C&D)がそれぞれ配偶者(E&F)と子(G~J)を連れて身を寄せ、3世帯で住んでいるような状況だ。わぁ、大家族!

例3)
A(世帯主・男)、B(妻・女)
C(子・男)、D(子・男)、E(子の妻・女)、F(子の妻・女)
G(子の子・男)、H(子の子・女)、I(子の子・男)、J(子の子・女)

同一住所で世帯を分けている場合もあれば、例3のように住民登録されていることも多い。この状態で何が問題かは一目瞭然。親子関係や夫婦関係が住民票だけでは把握できないことだ。仮にC&E、D&Fが夫婦であったとして、それは戸籍を確認するまで分からない。そして、住所地=本籍地とは限らないため、戸籍の閲覧権限が、住所地の自治体にあるとは限らない。

孫についても同じことが言える。いずれの夫婦の子供かは戸籍を確認するまで分からない。さらに単身赴任なんかしていたら、カオス of カオス。もはや世帯主の意味さえ形骸化しているところへ、両システムのDB設計に無理がある。

例えば、自治体の業務としては、就学援助や医療費助成などを通じて、両親の所得を把握するものがある。そこで単身赴任中などの親の税申告状況を他自治体にマイナンバー連携で問い合わせることが近年可能になった。(それまでは課税証明書<紙>の提出などが必要であった)

そういった意味で、例えば、援助を必要としている家庭の所得状況や、自治体の義務教育中の子供を持つ親の所得の中央値を、各制度の集計から間接的にざっくり把握することはギリギリ可能であり、実際に個別の政策はそれを元に練られている。が、申請主義に基づくそのような数値を信じていて良いのだろうか。アホな私でも分かる。間接数では実態を正しく把握できない。

現状の分離しきった(1)住民システム&(2)戸籍システムでは、例えば、18歳未満の子供を持つ家庭の平均所得のようなものが出せない。こういった数値こそが、各自治体が政策設計する上で、一番重要なのではないだろうか。どこにどんな支援がいるのか、その数値なしに考えることなど可能なのだろうか。

議員は足を使って情報を得る、聞き取りをするなどとほざくが、本当にそんなことだけでいいのか。自治体は基礎数をしっかりと把握した上で、短期時間軸と併せて、長期時間軸での設計を行うべきではないのか。この日本中に蔓延する統計軽視の姿勢には憤りを感じる。最も恥ずべき事態だ。理系を採用しろ。というより、統計ぐらい全員が押さえておくべき知識だ。

3)漢字がややこしい

だんだん愚痴のような感じになってきているが、これはまともな愚痴だ。ちょっとテック寄りの話になるが誰か聞いてくれ。私がSE時代には遭遇したことのないような問題に市役所でぶち当たったことがある。そのひとつが文字コード問題だ。開発から離れて久しいので、最新情報に明るくないが、世界はUnicode(UTF-8/16)に向かっているようではないか。

かつては、UNIX系システムはEUC、Windows系システムはS-JISなどと言われていたが、現在は、世界のあらゆる言語の文字を統一文字コードで扱おうとしている、らしい。文字コードとは、その名の通り文字に割り当てられたコンピュータ内部処理上のコードという意味で、「あ」などの文字を表すためにコードがあるんだなぁという理解でOK。

さて、我々が暮らすヘルジャパンのIT凋落ぶりはご存知の通りだが、当然この流れにも乗り遅れている・・・その弊害のひとつがおびただしい数の「外字」問題だ。外字とは、所謂こういう類のものだ。参考:「渡る世間はナベばかり」。たまに画面に文字化けしている機種依存文字なども、この周辺の話になる。

10年ぐらい前に、戸籍システムの漢字登録の話を聞いたことがある。確かS-JISの空きコードに、市民に要求されるまま素人が外字をコツコツと登録していた・・・泣ける。

SE特有の合理的な考えで言うと、外字はゴミだ。一定以上の異字体はもう諦めてくれよぅ・・・というのが正直な思いだ。もちろん、これはやや乱暴ではあるが、戸籍システムにせっせと登録され続ける外字の全てに正当性があるとも思えない。

元々の手書き時代の戸籍文字自体が書き損じを含んでおり、その止め・ハネの微細な違いを「異字体」と認識し、外字登録している節があるからだ。判断基準も登録も、その時担当している事務職員の心ひとつに委ねられている・・・そんなこんなもスタンドアロンだから、各自治体で好き勝手にやらかしているのだろうが、これが統一システムを導入する上で、最後に立ちはだかる大いなる壁であろうし、既に限界点に達していると思う。ここは、Unicode上で異字体登録されていない文字は、きっぱり諦めるべきだろうと思う。やりたきゃ、個人で印鑑作ってろ。多分それだけが印鑑に残る最後の意義だ。

外字は、各自治体が勝手に登録しているので、同じ文字でも同じコードで登録されていない。だんだん分かってきたと思うが、こんなもの統一できっこない。

後、これは経験則なのだが、同じ文字でも指定フォントによって、微細な違いが出力されないという問題がある・・・「STOP!外字!」以上。

4)毒親・配偶者DVから逃れきれない

日本の戸籍制度は、厳密には血縁関係での「絶縁」が難しい。戸籍を請求できるのは直系尊属や同じ戸籍に記載されている人物(配偶者)となる。制度設計自体が、継承・相続を目的としているので当然である。「子」であり「親」である事実とは、死ぬまで向き合うこととなる。真ではなく法律によって。

戸籍は、あなたから見て祖父母~孫(父母・兄弟も含む)や配偶者が請求可能範囲であり、なかでも戸籍附票というものは「最新の住所履歴」を含んでいる。これにかなり問題がある。

例えば、子が親から逃れる場合、結婚によって自動的に戸籍が分かれるか(1つの戸籍には1カップルしか存在できない)、「分籍」手続によってまず戸籍を分けた上で、閲覧制限をかけるという必要がある。

このあたりの支援措置については、まず警察等への相談が必要となる。現在困っている方は、役所などで詳しく相談してみてほしい。役所の窓口は淡々としているように感じるかもしれないが、職員はそういう方にこそ力になりたいと思っている。どうか怖がらず相談してほしい。あなたの人生にとってとても大切なことだ。

一応の救済措置として、この閲覧制限があり、ストーカー行為等から命を守るべく自治体職員もかなり神経質に運用している。が、待ってほしい。この閲覧制限は(1)住民システム=住民票と(2)戸籍システム=戸籍附票に対して同時に行う必要があるが、ここでもまた住所地=本籍地とは限らない問題がある。

警察等への相談から、住所地&本籍地に通達されるまでに相当のタイムラグがある。命に関わる案件であるため、勤務していた自治体はASAPで処理していたが、それでも一分の隙があっても安心できない状況で、これは許容されていて良いのだろうか・・・各自治体間での支援措置のやりとりは確か郵送であったように記憶している。

そして、閲覧制限されていた住民票や戸籍附票を誤って渡してしまい、結果として被害が出てしまうことがあるのは、よくニュースで報道されている通りだ。

これは、自治体職員ばかりを責めても解決しない。それぞれの業務フローが複雑怪奇な上にタイムラグもあるからだ。本来はシステムガードが100%であるべきだが、内部処理作業のタイミングで閲覧制限のロックを外さなければならない状況もあったようだ(主担当ではないので詳しくない)。

住民票が同じ住所に居住する「同一世帯員のみ」が請求できるのに比べて、戸籍請求の範囲はあまりに広い。相続と併せて大きな課題であろうと思う。誰かが死亡したら相続範囲に自動で通達されるような仕掛けは、是非はともかくグローバル化し続ける社会にそろそろ必要とされている気がする。

5)生活保護の扶養照会

[2021.01追記]
そう言えば、戸籍制度にはこんな問題点もあった。わかりやすい記事を発見したので、是非一読してみてほしい。


これからどうしましょう・・・

戸籍システムを廃止し、住民システムに統合管理するべきだろうと思う。夫婦・親子関係なども、属性に持たせるかネストさせれば管理できるのではないだろうか。DB設計の専門家ならきっとうまくやるだろう。その上で、段階的に全国的にシステムを統一しつつ、オンライン統合するべきだろうとも思う。統合範囲は簡単には答えられないが、これこそ、業務フロー設計の意味で、とことん議論するべきだ。全国の自治体で共通業務が圧倒的であるのにも関わらず、個別調達をしている現状は究極のリソース無駄遣いで我慢ならない。

現在、自治体には年金や戸籍などの法定受託事務というのがある。本来は国がやるべきことだが、市区町村でやっておくれ、というものだ。

ただし、これらはオンラインが整備されていなかった時代のものだし、そろそろ整備して国が自前でやれ、と思わないこともない。遠隔で相談業務とかもやろうと思えばできるだろう。何でもかんでも末端の市区町村に押し付けすぎだから、市民の直接の声を聞くこともなければ、事務処理手順を把握していない経産省のアホGOTO事業なんかが出てきちゃうのだ。

あ、ついでにお祭り経産省も要らないと個人的には思う。さらについでに、市役所行くのもそろそろ面倒だから止めてほしい。リモートで受け付けろ。何でもかんでも郵送するのもやめろ。海外に長期滞在する人間も多い。全市民に恒久的なポータル(一応マイナンバー制度で展開済)に加えて、メールアドレスと口座を用意してはどうか。

戸籍システムにはなるほど歴史があるが、それはコンピュータがなく、人が移動せず、旧態の家父長制では把握が容易で、そこに暫定的な合理性があったからだ。もはやその前提はどこにも残っていない。

法はいつだって暫定だろうと思う。テックが追いついたなら、最適なものを目指す時期に来ている。もう、世帯でひとまとめにせずとも、人間ひとりひとりをしっかり把握できるテックがある。

雑Q&A

しょうもないQAを妄想してみたので、雑に打ち返してみたい。

Q)戸籍がないと家系図作れない
A)今作れ。それで残せないなら、それまでの家系だ。以降は高額ビジネス化すればいい。それなりの家系なら追いかけられる。

Q)夫婦別姓だと絆が・・・絆が・・・
A)既に事実婚を選択し、夫婦別姓で絆強く暮らす家族がいる。安心しろ。今すぐに求められているのは、彼らの救済だ。黙れ。

Q)家父長制が・・・家父長制が・・・
A)まさか別姓を望む女性で自民党支持者はいないよね?屠殺場に自ら赴く家畜のようなことはしていないと信じたい。2020年の議論の行方と現政権とカルト「日本会議」との関係を自分で調べて知って欲しい。神社本庁から香川のこんぴらさん(金刀比羅宮)も離脱した。今静かに激動しているのが日本だ。

オンライン化しよ

書いていたら、しょうもない市役所業務を色々思い出してしまったので、今後いつ機会があるか分からないし、最後にちょっと残しておきたい。

あらゆる申請システム、マジでオンライン化しよ。有人窓口は若年者を対象に、段階的に有料化しよ。電話問い合わせも、有料化していこ。もうね、自治体業務は増えすぎて回ってないから。

効率化できる部分をしっかり効率化して、生活保護や、高齢者&障害者&母子の見守りなど特に支援が必要な部分を手厚くしていかないと、一番助けが必要な人に手が届かないままだ。非正規雇用もいい加減にしないと正規職員も保たない。いずれ共倒れになるだろう。同一労働同一賃金との話もあるが、私の勤務していた田舎市役所では、同一賃金が守られない言い訳のように、明らかに業務内容に差が生じており、結果として、非正規職員には安月給の代わりに、正規職員には業務のしわ寄せが来ており、双方が疲弊していた。搾取されているのは全ての職員だ。しっかりと正規雇用し、職務分担しなければ持続できないだろう。

窓口をしばらくだが担当していた者として思う。待ち時間、なんとかならんのか。公務員は1時間単位で休暇を取れるけど(ビックリだよね)、民間は普通AM・PM休暇だよ。かなりの犠牲を払って役所に来てるのよ。保険にしろ、年金にしろ、申請書は複雑怪奇で、窓口担当者が張り付いてあらゆる指示を入れながら記入してもらうことになる。

いやいやいや、これオンラインではなくとも、タブレット入力なら、入力フォームでガードできたり指示できるんじゃないのかエラーは省けるんじゃないのかい。ネットカフェなんかで、登録がタブレット入力&放置のところも今や沢山あるよ。っていうか、もはや主流なのに、行政だけが遅れている。目を覚ませ。

後、どうでもいいけど、日本はあらゆる店舗で住所情報を取得しすぎ。美容院で髪の毛切るだけでユーザ登録必要なの、いい加減面倒くさい。やめろ。DMは要らない。こういう右に倣え感も、元はお役所から来ているように思う。

マイナンバー制度

いやぁ、ひどい制度だよ。制度設計がポンコツ過ぎて、こんなもの運用に耐えない。市民にシリアルIDが要るという部分だけは完全同意だ。これはもう元SEとして当然だ。だが、そこで管理する情報の種類の危険度と、取り扱い方法や範囲の複雑さが破綻していると思う。そして、現政権はこれらの情報を預けるに値しない。小中学校の成績など言語道断だし、全く信頼できない。

そして、弱小自治体の職員でマイナンバー制度をしっかり理解している職員はほぼいない・・・と思う。私のような氷河期で疲れたSE崩れが再就職でもしていない限り、あんな仕様書理解できない。実際私も複雑すぎて読み飛ばしていた。そもそも総務省のエリート達もあれを完全に理解しているとは思えない。理解してたら、あんな設計します?どう考えてもベンダーの提案資料をそのまま流しているだけだ。完全に理解できている国会議員は何人いるのかさえ疑問だ。

資料の中には、暗号鍵の話まであった。えええ~~~!?そこから理解しなきゃマイナンバー担当は駄目なんですかい。水増し資料なのが丸わかりだったし、そんな職員が定額で育つわけないだろ。アホか。IT技術者舐め過ぎだ。とにかく、失敗は失敗と認めて、運用を見直すべきだろうと思う。近々送付されてくるらしい、マイナンバーカード申請書も無駄だからやめろ。

さて、今年のイライラを出し切ったように思うので、ここら辺で選択的夫婦別姓?についてはここまでにしたいと思います。口が悪い文章にお付き合いありがとうございました。普段はさほどではないです。今日はよく眠れそうです。お疲れ様でした。

個人的には、何よりも現在苦心されている方が一刻も早く救済されるよう、選択的夫婦別姓が実現されることを願っております。

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