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バチェロレッテ3 #01

(C)2024 Warner Bros. International Television Production Limited. All Rights Reserved

はじめに

今回は、epi01-04のレビューとなります。

ひと通り本編を視聴した後、私はとりあえず寝た。頭の中がパンパンだったので、次の日もまた早めに寝た。小川哲郎氏が連れてきた牛を、飯野和英氏がヴィオラで仕留め、北森聖士氏が串焼きにし、美味しそうに頬張るチェン・ジャック氏の頭上のタイ焼きを猫が咥えて走り去る。そんな無人島サバイバル生活の夢を見てから、ようやく記憶を頼りに書き始めている。どこまでが現実だったか曖昧だが、まぁ、ここは適当インターネットだからいいか。付け合わせの脱力を忘れずに、どうぞ召し上がれ。

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最強の布陣・・・だが

バチェロレッテと言えば、恋リア界のだんじり。情報が解禁されると、どこからともなく歴戦の猛者どもが現れ、探偵並みの考察、占い師並みの予想、動画職人のような切り抜き、大喜利のような面白コメントやファンアートで祭りを盛り上げてくれる。

また、そんなバチェ民たちに次々と餌という名の素材提供をしてくれる公式のプロモーション手腕は、他の恋リアにも見習ってほしいところだ。名前とキャッチコピーの入った使い勝手の良い顔写真は、本当によくできていると思う。最近だとフィジカル100のレビューを書こうかと一瞬思ったのだが、出演者の顔写真が簡単に出てこず、面倒になって止めてしまった。ズボラを動かすには、完璧なお膳立てが必要だ。

今回からMC陣が一新され、それぞれ腕も良く安定感があって見やすいが、戦力過剰な気もする。今田耕司の安定感に文句はないが、それでもやはり言っておきたいと思う。彼が男性であるが故に、スタジオに一旦引き受ける際の視点が男性由来のものとなっており、紅一点で配置されている高橋メアリージュンも、「女性ならでは」の見解を話す必要が出てくる。女性がもう一人いれば、彼女自身の考えをもっと掘り下げて話せただろうと思う。男性3人は、彼女の言葉を遮ったりしないし、とてもよく配慮されていて素晴らしいが、性別の偏り故に男性陣の心情ばかりを推察している点や、オッサン3人に女性1人という物理&心理的な壁も気になる。MCが女性であれば、スタジオのシーンもいきなり本題から入れて、よりスムーズになるのではないだろうか。女性の管理職不足はやる気不足という的外れの議論になることも多いが、「女性が男性を選ぶ」という趣旨から、これほど女性MCが相応しい番組もないのに、女性にチャンスを与えない。この感覚の古さについては苦言を呈したい。もしもキャスティング段階でこの点について意見が出なかったのであれば、そんな老いた組織に未来はないだろう。

慈悲の心で、最大限好意的に解釈すると、もしかして今田耕司の席はつなぎで、現在産休中のバービーが座るはずだったのではないかと思ったりもする。プロならテンションも品性も番組向けに調整できるだろうし、「料理が得意だが、男の胃袋は掴まない」と言い切る彼女の恋愛観には興味がある。男女逆転させてバチェラーのスタジオだと考えてみると、主役の声を代弁するのがサブMCだけというのは異様な光景だ。引き合いに出して悪いが、Netflixの恋リアはMCの男女比と力関係がかなりフラットになっていて、バチェラーシリーズだけがとても遅れていると思う。

恋の損切り

手痛い失恋をしたことがあるだろうか。私はありまぁす!張り切って言うことでもないが、当時はショックが大きく、まさに災害級であった。いつ訪れるかもしれない悲劇に対して、なぜ世の中には失恋休暇がないのだろうと、割と本気でムカついたりしていた。

悲しくてとめどなく泣き、熱い涙で目が溶けてしまうんじゃないだろうかと思った(溶けん!)。胸が苦しくて上手に息もできず、死んでしまうかと思った(死なん!)。失恋とはまさに、突然訪れる災害なのである。一番近くにいた人が、一番遠い人になる。

今になって「最初に知りたかったなぁ」と思う事のひとつは、恋の損切りだ。投資を始める時、まず叩き込まれるのが損切りの重要性だが、恋については終わりの重要性があまり語られない。

私は警戒心が強いので、恋が始まるまでの損切りはすごく上手だが、コミットしてからは、時折楽観的な目測で損切りラインを後退させてしまうことがあった。結果、傷が深くなり、損切りの重要性を噛み締めて今に至る。「自分が伸び伸びできていない」「自分が粗末に扱われている」と感じたなら、たとえ相手をどれほど好きであろうとも、そこが恋を諦めるべきラインだ。何より大切な自分を守る必要がある。

誰も幸せにならないと言われるバチェラーシリーズだが、後日譚を含めて「恋の損切り」を見せてくれているのだと思えば、それはそれである。また、今回のバチェロレッテ3の裏テーマがまさに「恋の損切り」であるように思う。真実の愛とやらが、最後のローズセレモニーの30分でも、せめて5分間でも存在していれば、まぁそれでいいのではないだろうか。出演者たちもあまり気負わずに、違うと感じたなら交際を解消すれば良いと思う。結婚という決断は、ファンの存在や期待を切り離して考えるべきことなので、余計なプレッシャーを感じないでほしい。

あちらにいる鬼

ひとつ、究極の恋の損切り映画を紹介したい。瀬戸内寂聴をモデルに描いた「あちらにいる鬼」だ。この映画は、寺島しのぶを余すことなく使い倒し、特にラストシーンが凄いので、時間があれば視聴してみてほしい。寺島しのぶの表情がとにかく素晴らしい。

誰もが、結婚を意識する年齢になると、これまでの最愛を上回る最愛に出会い、恋の絶頂を掴み取り、結婚という誓約で、その輝きを永続的に延命させたいと願うものだろう。しかし、現実はそう順当に運ぶとは限らず、幸か不幸か、幼く未熟な段階で奇跡のように最愛と出会い通り過ぎてしまうこともある。ラストシーンで寺島しのぶが見せるような表情で思い出せる恋が生涯にひとつでもあったなら、それはとても幸せなことではないだろうか。

新しいショーの建付け

今回のキャスティングは、制作陣がかなり考え抜いた上で挑戦している気がする。男性陣は、いわゆる内向型や思考型の性格タイプが多く、恋リアとしてはかなり珍しい布陣だ。

従来、恋リアには、画面映えがする感情的なタイプや、外向型が多く起用されてきた。そして、彼らはドーパミンタイプの時間軸が短い恋愛をする傾向が強く、要するに火付きが早く、恋をしている様子が分かりやすいショー向け人材であった。

対して、内向型や思考型は、時間軸が長いオキシトシンタイプの恋愛をすることが多い。刺激ではなく信頼を優先する彼らは、絵面がどうにも地味だ。恋リアからは敬遠されていただろうタイプが集結しており、なんだかすごく新しいものを見ている気がしてワクワクしている。ここまで思考型が集まっている恋リアなんて今まで見たことがない。ついでにデビルズ・プランも1本撮れそうな人選じゃないか。

人物雑感

武井亜樹氏

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「二カッ」と効果音がついているような笑顔が眩しいバチェロレッテは、カラフルな衣装を次々と着こなし、堂々としたドレス姿を見せたかと思えば、ワンピースを着て佇んでいる姿はとても可憐で、その七変化っぷりも面白い。そして何より、表情豊かな彼女を観るのがとても楽しい。

Amazonのリージョン管理がどうなっているのか知らないが、今後、日中韓FTA(自由貿易協定)が成立すれば、金にならない極東の島国コンテンツは、アジアの同時配信に向かう可能性が高い。最終的に、全ての動画配信プラットフォームはNetflixのように世界同時配信へ向かうだろう。世界基準で考えた時、ただでさえ日本人の表情はわかりにくく、主役の表情が乏しいコンテンツは競争力を持たない。そういった意味で、今回のバチェロレッテは世界展開できる訴求力があるのではないかと思う。たとえ彼女がしかめっ面をしていようが、コロコロ変わる表情にはそれだけで華がある。

彼女の一番いいところ=自分の心に素直なところ。言葉にして伝えようとするところ。

心に触れる

序盤からドえらいもん見たなと思うシーンがある。epi04で自然の中の巨大なバブルで櫛田創氏と過ごすシーンだ。

このデートは、バチェロレッテの衣装も気合の入り方が違う。色だけを見るとホワイトローズのデートにこそ相応しい装いだが、背中が空いたセクシーさとキュートさを併せ持つ最強の服をこのタイミングで着込んできたか!という印象があった。

櫛田創氏の「嬉しかった」という言葉を「会えて嬉しかった」の意だと糠喜びし、「私達は似ているところが多い」と序盤から前のめり気味に説得に走っている。彼の言葉に一喜一憂し、伝えたいことが山盛りになっている感じがとっても可愛らしい。「今の感情を帰った時に考えてみたい」という彼の言葉のなんと誠実で美しいことか。

飯野和英氏のいいところを話し出す櫛田創氏は本当に空気が読めないなと思うが、拗ねているバチェロレッテもまた可愛い。続いて、彼女が弱音を吐くシーンが凄い。(epi04 00:30:05)

幼気な者を見るような、痛みを感じている櫛田創氏の瞳と、「無理だと思ったら止めたらいいと思う」という言葉に対して、旅の思いを語りながらも縋るような目で見つめるバチェロレッテ。互いの目に互いが入り、互いの心に互いが入った瞬間だったと思う。

いつも言語化言語化と言っている私は、ともすれば言語化原理主義者のように思われているかもしれないが、こんなとき、感情に言葉が決して追いつかないと知っている。これ以降のやり取りはもう、目だけで言葉を超越したコミュニケーションをしている。私はこれが観たかった!

デートの終盤にバチェロレッテが見せた、今にも気持ちが溢れて泣き出してしまいそうな表情は、とろけるほどに甘やかで可愛らしい。今すぐにでも彼を驚かせ喜ばせたいと、いそいそとサプライズローズを取りに行く姿は幸せそうで、恋をすると人はこんなにも輝くものなのかと思った。そして、「ちゃんと向き合っていきたい」「これまでのローズとは違う気持ちで受け取っている」と伝える櫛田創氏が気絶するほどカッコイイ。

梅谷悠太郎氏とのデートで見せる彼女の顔は「楽しさ」で、櫛田創氏とのそれでは「嬉しさ」が前面に出ている。二つの感情は近くに位置し合わさることも多いが、「嬉しさ」が断然強い。今後二人は何らかの関係性を築くと思う。それが有色なのか無色のものかは分からないが、そんな結果に拘らずとも、とても豊かな人間同士の向き合いになると思う。

飯野和英氏

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個人的に彼の近すぎる距離感が苦手だが、バチェロレッテは自然に受け入れているので、かなり彼に心を許しているのかもしれない。

ルームメイトの明日を守るために、蚊に食われながらも外で寝たとのエピソードには驚いた。どこまでも優しい彼は得難い人間だが、これはちょっと大変だぞという気もする。

彼の無理は彼だけの問題に留まらない。彼が大事な人になったとき、自分を大切にしようとしない彼を守るために、結局こちらが全ての尻拭いをしなければならない羽目になりそうで嫌だ。その状況を考えるだけで面倒くさくてたまらない。私は性根が腐っているので、こんな感想になってしまって本当にすまない。

epi04のショッピングデートでは、車を買わせるセールスマンのようなトークが繰り広げられている。相手に想像させて、その未来を自分で選んだと錯覚させて買わせる手腕はなかなかだ。やっぱり私は性根が腐っているので、話が長いなと思いながら見ていた。ただ、三者のなかで、彼だけがバチェロレッテのニーズを引き出し、彼女を「可愛らしい存在」として捉えていたのが印象的でグッと来た。大勝利おめでとう。まだまだ引き出しがたくさんありそうな彼は今後も楽しみだ。

彼の一番いいところ=優しさと表現力。びっくり箱。

磯村彰吾氏

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彼は想定外の出来事に弱い。バチェロレッテが気になったのは、マヌカハニーの「あ~ん」そのものではなく、アドリブの効かなさなのではないだろうか。

同じくバチェロレッテの拒否パンチを食らった大柳豆勇也氏は、すぐに切り替えて二度目を迫ることがなかった。この機微を読み取るセンスの差は大きい。

彼の一番いいところ=?

梅谷悠太郎氏

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「お前は一体どこから目線で偉そうにレビュー書いとるねん」とお叱りを受けそうだが、ショーであるからして、西から目線でどうか好きに言わせてほしい。バチェロレッテはPVを観てはいないが、私ならPVを視聴した時点で彼のことは損切りする。

私が憎む邪教・ポジティブ教徒であることが、まずウザい(すまん!)。そして、彼の発言のそこかしこに漂う無神経さに我慢ならないので、ネチネチと綴りたい。

まず、ツッコミどころが満載の彼の初恋についてだが、PVでは小4から、そしてepi02のツーショットでは小3からと発言しており、15年の一途エピソード自体が揺らぐ。消防車の運転のくだりもそうだが、しょうもない小嘘を多発するところが信用ならない

そして、想う人が別にいても誰かの手を取ることはあるだろうし、それ自体を悪いことだとは思わないが、その時の相手に、それを察知させないというのは最低限の礼儀だと思う。彼が今回全世界へ向けたコンテンツの中でそれを発表してしまったのは、過去の彼女の思い出さえも黒歴史に変えてしまった。この罪深さに彼は気づいているだろうか。おそらく、かなり目立ちたがり屋だったであろう彼の交際範囲は地元で周知の事実となっている可能性が高く、他人事ではあるが、旧彼女たちの現在のいたたまれなさを思うとしょっぱい。そして、分かる人には特定できてしまうだろう初恋の話を繰り返すことは、その初恋の相手に対して暴力的な告白であると思う。彼は光を強く反射する一面しか見ておらず、他者の気持ちを慮るということができない。常に自分、自分の最凶テイカーである。ルートを決めずに壁にベタ足で取り付きパワーで登っていくようなクライミングスタイルからも、そういう刹那的な部分が垣間見える。

彼の目はやたらキラキラしているが、これは自分のなかに一切汚点がないと信じ切っているからこその表情だと思う。自分のやらかしに気づいていない事が私は怖い。ポジティブ教徒には割に多いが、「悲しさ」という感情を携えていない人間を私はあまり信用していない。寂しさは分かるが、悲しさは分からない、そんなタイプに彼は見える。

バチェロレッテへのアプローチはとても積極的で、会話にどんどん割り込んでいく姿勢も抜け目がなく頼もしい。精神的に大人な出演者達に囲まれた彼は、早々に末っ子ポジションを獲得し、天真爛漫さのゴリ押しで順番飛ばしも軽くこなす。2on1デート会議でも「好きって気持ちより残りたいって気持ちのほうが強い」と、やや自分の事を棚上げした発言をしており、嘘を嘘だと思っていないからつける嘘という気がする。自分さえも騙せる、これぞポジティブ教徒だ。

一方、自分の心を整える方法を模索した話などは、地に足がついていてしっかりしているし、淀みなく会話をリードする彼との時間をバチェロレッテはリラックスして楽しんでいる。おそらくバチェロレッテは彼の存在で自信と元気をチャージしている。感情遅行型の櫛田創氏と向き合うには必要な栄養源なのだろう。

彼の一番いいところ=積極的で真っ直ぐなところ

大西正嗣氏

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印象がなくコメントなしです。

彼の一番いいところ=?

小川哲郎氏

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道路を歩いているときはご機嫌そうだった牛が、会場に入った途端にストレスを感じていそうで少しかわいそうだった。彼の落ち度ではないが、少し考えてしまう演出だ。

手紙の余韻で命拾いしたことは良かったのかどうか。人数調整の間にいる彼はいつも悲壮な表情をしていて苦しそうだ。

彼の一番いいところ=?

大柳豆勇也氏

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少し話がそれるが、俳優・仲間由紀恵の演技を見ていると、顔が残るというのか、ポージングが美しくて焼き付くのが不思議で、琉球舞踊の経験があると知って妙に納得したことがある。

そして、大柳豆勇也氏にも同じようなことを感じている。彼には独特のオーラと強烈な引力があり、どんな場面を切り抜いても絵になる。映っていたのは何秒?かろうじて単位は分?と思うような短さなのに、あの魅力的なしたり顔の頷きが忘れられない。何をそんなにフムフムと納得しとるのか分からんが、ずっと頷いていてほしい。

彼の一番いいところ=自分の魅せ方を知っているところ。

加藤眞大氏

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彼を最初に見た時、顔を上下逆さまにしても顔になりそうだなぁとアホな事をぼんやり考えていた。

彼は「表情を見れてなかった」という発言をしていたり、割り込みタイミングをやたら緻密に探っていたりと、実は結構緊張するタイプなのだと思う。そのまま感じたことを素直に伝えるだけでも良かったのではないかと思うが、毎回はじめに一言かまして、笑いに逃げてしまう弱さがある。

ルックスを武器になだれ込むような恋愛を得意としていそうな彼は、人間性を確認してから恋愛するかを決めるようなバチェロレッテのスタイルとは端から考え方が合わなかったのではないだろうか。

「本気にさせてほしい」のくだりは、言葉が足りていないか、大幅に滑り倒している可能性もあるように思う。いずれにしても失礼な言葉であったことには変わりがないが、早めに損切りできたという点は互いに良かったと思う。

彼の一番いいところ=?

北森聖士氏

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彼は初回のカクテルパーティーの動きが実にスマートだ。ツーショットの順番を予約し、グループトークでスッと隣に座っていたりと、本当にそつがない。

ボソッと話す声だけは時折聞こえてくるものの、これといった見せ場がないのに残り続けている妙に強いミステリアスな人物だ。

彼の一番いいところ=落ち着いていて、頭が切れそうな雰囲気。

櫛田創氏

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風評被害になりそうだが、言ってもいいだろうか。彼を見た私の第一印象は、「兄1、何やっとるん?」であった。似ている・・・似ているのだ我が愚兄その1に。

昭和にアレクサはいなかったが、「あにいちー!」と呼べば、計算機兄1は私の宿題を解いてくれた。私がこんな残念な仕上がりになってしまったのは甘やかした兄1のせいでもある。

初回のレッドカーペットで滑り散らかして顔に汗をかいて焦っている様子や、長そうな専門分野の話をし始める姿は兄1を思わせ、共感性羞恥で血圧が上がる。

集団をうまく巻き込んで、バチェロレッテに負担をかけないように動いているところも素敵だが、個人的にグッと来たのは、epi03のアートデートで、バチェロレッテから「どうして、(語った家族像がカズ君らしいって)思ったの?」という質問に、即答できたところだ。こういう合いの手は適当に語る者が多いが、淀みなく答える姿が良かった。ここでようやく兄1の幻影は消えた。よく考えると、兄1は適当なところがあるし、「ジャンプ買ってきて。後で読ませてあげる」と私をパシらせたり、「ここら辺でレベル上げすると楽しいよ」とドラクエの経験値を搾取する悪魔のような一面もあった。優しい櫛田創氏とはやっぱり月とスッポンなので、もう交換したい。

今後は、もはや一強と言ってもいい彼の気持ちの変化を見守るシーズンとなりそうだ。最終的な結論が何であれ、二人が今誠実に向き合おうとしている姿が何よりも美しく尊い

彼の一番いいところ=真摯で理知的な態度と包容力。

坂口隆志氏

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出会いの場面で緊張していたとコメントしていたが、ファーストインプレッションローズを受け取って安堵した後には、「普段の自分が出せた」と矛盾したことを答える辺り、調子に乗りやすいのだろうと思う。彼はこのシーンがピークで、epi04まで視聴した段階では、株は大暴落してストップ安となっている。

黙っていればいいのにと思うが、親鳥マインド、ジェットコースター、魔法使いなど、しょうもない事を言わずにいられない堪え性のなさだ。まるで面白くないので、「君のつまんないソレ、拾わなきゃダメ?」ぐらいに鬱陶しがられてそうな気がする。

彼の一番いいところ=素直さ、腹芸ができないところ。

セバスティアン・クラビホ氏

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終始ソフトな物腰と話し方で好印象。「普通」のくだりも櫛田創氏を信じていたり、その誠実性が裏付けとなって、自ら身を引いた判断も理解できる。

数多くのデートに招待され、観察力もある彼は、早々に彼女の気持ちにも気づいていたのかもしれない。グループデートにおけるバチェロレッテの櫛田創氏への視線や、出来上がった絵の引きの強さから、色々と感じることもあったのではないだろうか。

彼女への気持ちが育たないと損切りを決めたのは、epi03でのルーツを探るというグループデートではないかと思う。このデート終盤の彼の表情は沈みきっている。

あのデートは明らかに「櫛田創氏への不満や不安をこすりつけたい」という甘えの出た、目の前の3人を尊重しないバチェロレッテらしからぬデートであったし、事後の小川哲郎氏への思いつきのような「力士」コメントも礼を欠いていたと思う。

また、epi02でのサファリでのグループデートにおける、彼女の動物に対する態度が期待値を上回らず、飯野和英氏に気軽に作曲を依頼する態度も影響していたのではないかと思う。セバスティアン・クラビホ氏は知る由もないが、初回のカクテルパーティーで飯野和英氏は、出会いの曲は仕事の合間に寝ずに作ったと語っていた。あのやり取りを踏まえてなお、この軽さの発言をするところに、創作をする者へのリスペクトが感じられず、個人的には一番引っかかりを覚えた部分だ。

彼の一番いいところ=穏やかで落ち着いていて、誠実なところ。

チェン・ジャック氏

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そこはかとなく不憫な男、それがチェン・ジャック氏。

散々持ち歩いたワインは開けられることもなく、最終的にようやく掴んだチャンスは三人掛けの隅っこ。そして、自信満々で「僕のためのローズ」とまで言い放ったホワイトローズが目の前で受け渡されるのを指をくわえて見守るシーンは最高にしょっぱい。ついには会場を横切る猫にまで存在感を掻っ攫われるという不憫さだ。

彼の一番いいところ=コメントがじわじわ面白いところ

フラー・ロバート礼氏

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PVを見直してみても、結局彼という人間がさっぱり分からない。

彼の一番いいところ=?

水上卓也氏

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出会いの場面で地図を広げる段階でもうバチェロレッテが面倒くさそうにしているので、苦手なタイプだったのかなと思う。

彼は強い緊張を全く制御できておらず、それが自然と伝搬してしまい、人をリラックスさせることができないのかもしれない。

彼の一番いいところ=?

山本一成氏

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PVを視聴した時、「今のカズ君って、素のカズ君ですか?©佐藤駿」と思ってしまった私は、epi04の展開にエア土下座で深々と謝罪した。失礼!

彼の声や表情はコントロールが行き届いており、表舞台に立つ人特有のそれは、どこか現実との距離を作ってしまうものではないだろうか。何かが欠けているというよりは、技を人より多く持っているのだと思う。まぁ、中年になったら、奥義「開き直り」が習得できるよというクソバイスしかできないが、自分のなかで深く引っかかっている部分に真っ直ぐ向き合おうとする姿勢はカッコイイと思う。

2on1会議について、梅谷悠太郎氏や北森聖士氏の言うことも一定理解はできるし、正論は正論なのだが、山本一成氏にとっておそらくとても重要なテーマであろうから、何らかの時間を取れるといいなと思う。それにしても何故こういう会議はいつもいつも、勝ち残りが決定しているような部外者が口を挟むのだろうか。

一方、PVにおけるビートボックス論文の話は面白くて引き込まれる。好奇心の強そうな彼が楽しそうに話すと引力がある。また、分析力の鋭いコメントからは、よく人を見ているのだなという印象を受けた。

epi02のビーチバレーで、チェン・ジャック氏の背中についた砂を払ってあげたり、嘘吐き梅谷悠太郎氏のフォローをしていたりと、彼は目立たないところで黒子のように細やかな気配りをしている優しいところがとっても素敵だ。男性陣が早々に打ち解けた雰囲気になっているのは、ビートボックスを皆と一緒にやった彼が立役者なのではないだろうか。

彼の一番いいところ=細やかな気配りができるところ。集団の空気を調整しているところ。

私の推しを守って ◆GO VOTE 7・7◆

IMAGE by: DELTA

毎年の恒例行事になったバチェ祭には、例年見かけるあの人やこの人という技能班以外に、140字でタグを付けてつぶやいてくれる無数のバチェ民がいる。なんとなく、いつものメンバーが揃ったようで懐かしい気持ちになるが、今年はもしかしたら参加できていない能登のバチェ民がたくさんいるのではないだろうか。

今年の元日に発災した能登半島地震は、正月に帰省していた者を巻き込み甚大な被害を及ぼした。ボランティアを制限した初動の影響は長く尾を引き、半年が経過した現在もまだインフラの復旧さえままならない地区が数多く残されている。人々の記憶も薄れかけ、能登はまさに今、棄民になりつつある。

そんな石川県知事を務める馳浩の無能さは記憶に新しい。仕事ができない首長を選ぶことは、人命・人生に関わる。7月7日に控える東京都知事選は、2025年の衆院選にも影響する重要な選挙だ。どうか都民は投票に行ってほしい。馬鹿な候補が乱立しているが、「ゴミからどう選ぶねん」という雰囲気に流されてはいけない。今回の正解はたったひとりしかいない。バチェ民なら絶対に見抜ける。明治神宮外苑の開発を止め、水道民営化も許さない、光ではなく、影に光を当てると公言している候補一択だ。

女帝を引きずり下ろして、まず黒塗りの文書を見せてもらおうじゃないか。推しが住む街、東京を守ろう。

東京という街は、これから庶民が結婚し、子育てをしていける街なのだろうか。一部企業と利権のために破壊され続けるのを今すぐ止めなくていいのだろうか。坂本龍一が最後まで訴えていた明治神宮外苑を守らなくていいのか。推しが住む街は、あなたのたった一票で守れる。投票に行くことは、最高にコスパのいい最大の推し活だ。都内のバチェ民、どうかお願い!私の推しを守って!!

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※画像は全て、Amazonプライム・ビデオ公式とWarner Bros. International Television Productionより拝借しています。

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