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バチェロレッテ #02

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

はじめに

今回はepi05-06を視聴した時点でのレビューとなります。(epi01-04の感想はこちらです

私が見ているのは、PVと本編のみです。出演者SNS等はチェックをしていません。その前提で、人間ウォッチングを共有できればと思います。

epi01-04と比較して、全体的に萌子さんの笑顔が減ったなという印象を受けました。沖縄での弾けるような快活さがなくなり、回を重ねるごとにこわばっていく表情に、彼女自身の取り組みへの真面目さとプレッシャーを感じました。

それでは、今回も人物を主軸にエピソードを追ってみたいと思います。

黄皓氏との温泉デート

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

正直、萌子さんの心の動きや涙の意味がよくわからない。どういう経緯で「自分の人生を肯定できたような気がした」の言葉に続くのか釈然とせず、大事なシーンを見逃したかと思うほどに消化不良気味だ。

非論理的だからこそ、ひとつの可能性にたどり着く。少し緊張感のある少女のような表情や言い回し。あれは、黄皓氏へのほのかな憧れや恋心からではないだろうか。タイプなのかなぁ。私は、杉田氏といるときの、いたずらっ子のような可愛らしい彼女の笑顔がとても好きだが、ハグに照れる様子は、また別の可愛らしさが出ていたように思う。おそらくときめきを伴って。そういうときは、「論理的整合性を担保しつつフェア」というふうにはいられない。

ここからは憶測だが、私は黄皓氏をバチェラー制作側のストック人材だと考えている。彼をバチェラーとして主役に据えるには、前シーズンとの差別化という意味でどこか物足りない。使い所としてのバチェロレッテへの出演は、制作側からの打診を受けてのものではないだろうか。

自分で応募したとするには、リスクをとってまでのビジネス的野心や、彼女自身への興味があまり感じられないからだ。そして、どう甘めに見積もってみても、彼の目は恋をしているようには見えない。万が一あれが出力MAXならば、どうしようもないポンコツ具合だし、流石にそうではないと思いたい。そして何より、epi04去り際の演出臭がひどい。

こういう言い方は好きではないが、彼はスペック補充要員なのではないだろうか。彼以外のPVが結構ひどいこともあり、視聴者に「この中から選ぶの罰ゲームじゃん」という感想を抱かせないために配置し、いいところまで残りそうな彼には、かき回す役割が暗に期待されている可能性がある。

そして、この程度の考えには、萌子さんも到達しているような気がしてならない。「ローズを受け取らなくてもいい」発言の真意はそこにあるように思える。「事情を理解した上で、私は今このバラを渡す」彼女はそう言いたかったのではないだろうか。

デート後のメンズ会では「俺はお前らより上だ」と宣言することで、自分の演出上の立ち位置を理解しつつ、場のコントロール感を楽しんでいるように見える。男性陣のなかで、彼が一番序列に対して敏感でナイーブだ。

そして、隔離生活を送る彼にしてみれば、周囲にいつものチヤホヤーズがおらず、自尊心の供給が不足している上に、通常では出会わない種類の人間に囲まれ、特にローズ氏やマラカイ氏には、従来の価値観がすんなり通用しなかったことに強いストレスを感じていそうだ。

男性陣をからかいながら優位に立つことで、自尊心のカツアゲも器用にこなしているように見える。この自尊心の自給自足のできなさ、肯定感の贈り合いのできなさが、ホモソーシャルの特徴的なところかもしれない。

ヒール役については、演じている可能性から割り引いて見ているが、そのなかで、ひとつだけ流せない言動もある。萌子氏からプレゼントされたお揃いの服を自慢しながらの「貧困層の皆には分かんないか」発言だ。

国際的な振る舞いを求められるポジションにいて、その程度の知識も経験もあるはずの彼が、パブリックであのような発言をする。そのリスク管理とうかつさには驚く。彼の根底にある価値観と器を凝縮したような言葉であったように思う。煽りとしても最低なあの表現は普通は出てこない。

それにしても、彼の表情はとてもコントロールされていて、なかなか読み取りづらい。変化に乏しく、正直見ていてつまらない。

はんのきざわ事変

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

最初の萌子さんの顔で結果まで見えるようだった。あれは「追い詰めてしまったか」という表情だ。

身に覚えがある女性も多いのではないだろうか。好きでもない人間にロックオンされる恐怖と居心地の悪さだ。例えばあれが、サークルなどの出入り自由なコミュニティなら、既に出席を停止して接触を避け、告白回避をしている状況だと思う。

デートに誘わなかったことからも、萌子氏からは「告白させない、暴走させない」ように予防線を張っていたように思われるし、ランニングデート中もしっかりとしたアイコンタクトさえ取れていなかったのではないだろうか。

そして、カクテルパーティーの廃止は、彼の扱いを含めて、諸々がしんどくなってきたことも背景にありそうだ。立場上、彼女は全方向外交のホスト役をしなければならないが、パーティーに臨む時点でほぼ心が固まっているであろう彼女にしてみれば、判決を先延ばしにするような時間が心苦しかったのではないだろうか。気持ちを育てさせずに、過酷なゲームから早めに解放したいと思う男性が、以前から何名もいたように思う。彼女自身が渡すバラの数を決定できていたなら、彼はそもそも台湾には来ていない。

そんな相手の思いや可能性を考えることなく、自分の気持ちで突っ走った榿澤氏。出し切れていない焦りや悔しさ、つらい気持ちも理解できるが、どこまで行っても自分自身に興味のベクトルがあり、ひとりで興奮しているんじゃないかと思える。

あのとき、彼女の正直な気持ちは「楽しみにしていたデートに水を差された」というところではないだろうか。配慮を理解してもらえず乱暴に踏み込まれ、対応を余儀なくされる。時間と心に負担を残したのは疑いようがない。

そういった意味で、気持ちを伝えるという傲慢さについて考えてみたい。好意はプラスの贈り物と捉えられがちだが、いつでもそうとは言い切れない。実は私はこの一連の流れを、心底うざいと思いながら見ていた。

若さと言ってしまえばそれまでかもしれないが、あれが「恋してました」という自認であることも驚いたし、歪んだ執着ではないのかと問うてみたかった。その定義は究極のパーソナルな部分で、個々人で異なって当然だが、仮に恋だとしても、彼の行動は「恋=エゴ」を体現したかのような身勝手さだ。

三者会談においても、彼女といる自分が好きなだけで、「自分が彼女に何を与えられるだろうか」という視点など一切なく、完全なひとり相撲だ。一方的に消費し、奪っていくような想いだ。熱けりゃいいってもんじゃない。
加えて「なんで僕をここまで残したんですか」と責め、「嫌です」とすぐに引き下がらないところも、またしんどい。気持ちを伝えて負担をかけたなら、せめて引き際はわきまえてほしいところだ。

全員がそうだとは言わないが、女性はある程度婉曲的に「告白させる・させない」をコントロールしているものだし、相手の女性が繊細であるなら、より男性には配慮してほしい部分だ。そもそも体格差がある人間に迫られるという、ある種の危機感がある。「ぬいぐるみに性器が生えてきた」と揶揄表現されるように、唐突な異性としての存在と好意表明は喜んでばかりではいられないことをついでに知っていてほしい。

それにしても、画面にドラマを足そうと画策されたのであろうストールンローズ制度は、デートに誘う時点で覚悟を持っている福田萌子氏にとっては単なる邪魔でしかなく、彼女の意思を尊重しない制作陣の設計ミスではないのか。青臭い情熱にほだされる映像を期待していたなら、ちょっと彼女を舐めすぎだ。

彼の一番の問題点は、そこまで長い時間や深い話を交わしていないにもかかわらず、のめり込み具合と思いつめた様子がアンバランスすぎなところではないだろうか。自分の言動に反応しすぎる感じ、見つめすぎる感じ。これは女性にしてみれば、正直怖いストーカー予備軍として警戒してしまう案件だろう。

お休み処ローズ氏

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

ローズ氏は得をしたのか損をしたのか。もともと残ってもらう予定だったと思うが、すごく充実したデートというわけでもなかったのにローズを渡した背景には、贖罪と心のリバランスもありそうだ。

人を傷つけたという事実に萌子氏自身も傷つき、今すぐにでも、誰かを喜ばせたかったのではないだろうか。彼女のコメントからも、とてつもない心の消耗具合を感じた。

ローズ氏は、実は一番印象が変わった人物だ。頭の中で「消臭力」が勝手に鳴り響いてしまい、軽薄なだけだと思っていたが、回を重ねるごとに、黄皓氏の嫌味を軽く受け流していたり、オープンマインドで柔らかい人物だと感じるようになってきた。

そして、服さえ着ていればむせ返るようなエロさもなく、慣れてしまえば動物とハグするような温かさと心地よさがありそうだ。
よくよく考えてみれば、待機組のメンズが不安をそれなりに仲間にこすりつけられるのに比べて、バチェロレッテはとても孤独だ。そのたった一人のチャレンジに、そっと寄り添っているのがローズ氏のようにも思える。

彼には、女性でも男性でも、犬でも猫でも受け入れられそうな寛容さがある。そして出演を果たした時点で、ある程度ビジネス的な目的も遂げているためか、誰よりも気負いがなくリラックスして自然体だ。そんな彼とゆるく続く何気ない会話に、彼女は時折背中を預けて一息つきたくなっているのではないだろうか。どうにも彼には「開放型休憩所」といった雰囲気がある。

そして、ローズ氏は相手が福田萌子氏ではなくとも幸せになれる人間だと思う。「男性は最初の男になりたがり、女性は最後の女になりたがる」というオッサン臭い言葉もあるが、出産を視野に入れたとき、「私でなければならない理由」は欲しくなるものではないだろうか。それをローズ氏が与えられるような気がしない。それでもなお「私が彼でなければならない理由」が熱く彼女の中に存在していれば可能性はあるかもしれないが、現時点では、お互いに人間的な好意があり楽しそうなものの、熱量はそこまでではないように思う。

ストールンローズ・三者会談

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マラカイ氏は終始まともで理路整然としており、人間性の確かさを感じる。牧野氏は参加動機の不純さはあるものの、穏やかだが力強い口調と眼差しは、とても魅力的だった。ローズセレモニーで最後に思いを伝える様子も、整合性はともかく佇まいはとてもいい。不要なことを口にしてしまう脇の甘さが色々と惜しい。悪人にはなりきれないということだろうか。それにしても彼の野心が一体どこから来ているのかは興味がある。

ローズ氏 vs マラカイ氏

乗馬デート後に別途設けられた1対1のデート。この隙間時間に萌子氏の気持ちは整理がつき、固まったように思える。

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

それは、彼らを個別に出迎える彼女の服装の差から直感的に感じたことだ。どこまで意識してのことかは分からないが、マラカイ氏に対して襟元を詰めて清潔感のある装いで迎えた彼女を見て、彼の気持ちをもう育てないように配慮したことが伺えた。

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彼女はマラカイ氏の人間性はとても好きだったと思うし、優しい彼に同じ優しさで返したいと考えていただろうが、未だ人生の序章にいるような彼と関わることに躊躇があったのではないだろうか。

彼の態度は、ややもすれば彼女を信奉しすぎているとも言える。まだまだ柔らかい段階の彼に影響を与えてしまうことへの迷いと、彼の成熟がまだまだ先のことで、10年20年の間、不確実性とともに見守るほどには愛着がなかったのではないだろうか。個人的にも彼の収穫期は10年後以降だと思う。

馬上デート後すぐにローズ氏を選ばなかったのは、心の整理が追いついていなかったことと、このような形でどちらかを去らせることで、大きな傷を残さないかと配慮したのではないだろうか。実際に、誰かと比較されて落とされるというのは、ずっとその原因を探してしまいとても苦しいことだろう。どの男性に対しても、彼女は一貫して「何かしら持って帰ってほしい」「後悔のないよう、格好良く去らせてあげたい」と考えていたように思える。

三者三様のグループデート

黄皓さん

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

まずは、待機中の3人の様子から振り返ってみたい。
面白かったのが、黄皓氏が「ぶっちゃけどうなの?結構好きなの?」と杉田氏と北原氏に問いかける場面だ。

「これ以上素敵な人はいない」と言い切る杉田氏を憮然と見返す表情がたまらない。今までで一番人間らしい顔をしている。これは語るに落ちるというか、自分のなかに未だ確信がないことの現れではないだろうか。

そして、資本家でもある彼は、同じ価値観に従属しない連中を受け入れられない。群れに属さずに単独の価値観を確立し、自給自足で己を充足させることができる杉田氏のような存在に、無意識下では脅威を感じているのではないだろうか。

一方、萌子氏に対する「どういう基準で選んでいるのかなと思って」の質問からは、黄皓氏のエゴと度量の小ささを感じた。相手への配慮の前に、まずは自分の不快・不安を解消したいのだろう。評価指数を先に知りたいというのは、最短距離を走りたいビジネスマン思考そのもので、効率厨の手抜きにも見える。1回こっきりの合格点を取るより、相手の喜ぶ姿をずっと探し続けるのが愛情で大切だと思うのだが。

別室で2人になった萌子氏の表情は、少し力が入りながらも可愛らしい。彼の前では少し構えているようにも感じるし、弱気な目をしていたりするのは、恋心からかもしれない。

epi06のローズセレモニーで北原氏を見送るときに、彼が顔を歪めて泣いていたのが印象的。やはり男性といるときの方がいい表情をする。

最後に、ちらっと見えた次回予告編について。萌子氏の正面に座るという実家での席次に驚く。来週、黄皓氏は面接をする気なのだろうか・・・

北原一希さん

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

北原氏のよくわからん話は、気絶しそうに退屈だったが、萌子氏は、恋愛沸点の低さにもがっかりしたんじゃないだろうか。「その程度で好きになっちゃうのか」と。

台湾でのグループデートのときにも感じたが、彼は緩衝材というか触媒というか、本人の存在はどこか頼りないものの、空気を和ませることで他の誰かを輝かせることができる人間なのかもしれない。ローズセレモニーで涙する姿に、初めて彼らしい表情を見た気がする。

杉田陽平さん

©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

素敵な告白シーンだったと思う。聞き入る萌子氏の前傾姿勢とソファに添えられた腕の位置からは、愛おしさを感じ、彼に触れたくなっているようにも見える。

「彼女でなければならない理由」を率直に語る姿は胸を打つ。彼史上最高級の熱量で恋をしていることが伝わるからだ。

杉田氏は萌子氏の前でいつも素直で可愛らしいが、更に男性の顔が出てくるとより強いと思う。例えば、ランタンデートで筆を持つ集中した顔や、温泉デート後の黄皓氏の高ぶりを冷静に洞察していた顔。個人的にはとても色気を感じるものだったが、こういう表情は彼女の前ではしていない。だって、ずっと幸せで楽しいんだものね。

今後、意外と萌子氏の方が正念場を迎えるような気がする。杉田氏はすでに心ごとダダ漏れで差し出し、既にまな板の上の鯉状態であるのに対して、「恋か愛か」「ときめきやエロス」といったテーマとともに、実は彼の存在もまた彼女にとって唯一感が出てきていたりするからだ。

自分のなかに、まだ自分も知らない色を見つけてくれるような感性の人間に、果たしてこれまで彼女は出会っただろうか。そしてこれから出会えるだろうか。

得難い人間に、恋愛対象の性をもって巡り合ったとき、仮に応えることができなければ、どのように関わっていくことができるだろうか。

短期間であらゆることをシミュレーションしながら考えなければならないヒロインには同情するし、人生100年時代にそもそもたった一人を選ぶような結婚制度はもはや破綻してるんじゃないかと、私などは現実逃避しながら余韻を過ごしている。

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※画像は全て、Amazonプライム・ビデオ公式とWarner Bros. International Television Productionより拝借しています。

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