役所に相談事がある場合、4月からしばらくは避けたほうがよい。あなたの相手をしているのは、たとえ40代を超えた職員であっても、「新人」かもしれない・・・
ご存知のように、役所に異動はつきもの。環境系から税務系、はたまた、教育系から建設系へ・・・ドラマティックな異動がある。3月内示を前に職員はソワソワし、まるで席替えを待つ小学生のようだ。毎年飽きもせず、くだらない噂話に花を咲かせている。
公務員として働いていた頃、人事異動が心待ちであることもあったが、年々疲れていく自分を強く感じていた。というのも、仕事内容がまるで転職したかのように変わってしまうからだ。わたしは10年間で数部署を渡り歩いたが、同部署で担当業務も変わったことがあり、それを加味すると、約2.5年に1回は転職していたことになる。この知識的・心理的負担をご理解いただけるだろうか・・・
もちろん経験は0になりはしないが、分野によっては次に生かせる知識が乏しいこともある。その場合、「新人よりも使えない新人」として、新しい職場の人間関係と業務内容に同時に揉まれることになる。これが加齢とともにかなりこたえた。
いくら頑張っても、数年でガラガラポンされてしまう。まるで死刑囚の穴埋め実験のような徒労感だ。もっと言えば、発言力をはじめとした年功序列以外の力を無理やりリセットされているかのようにも感じていた。
日本企業のジェネラリスト信仰、本当いい加減にしてはどうかと思う。この話が出るといつも「公務員が癒着するのを避けるため」との反論が出るが、これもどうかと思う。癒着を異動だけで避けられると思うのか、また、そうだとして、そのチェック体制に問題はないのか。
生産性の低さを指摘されて久しいが、キャリアパスなど微塵も考えていない異動システムは、4月~5月の生産性を根こそぎ奪い、加えて、新しく着任した人間を追い詰めてしまうことも多い。役所には年度初めに繁忙期を迎える部署も多く、役付きの中堅職員にとって、未経験分野への異動は死刑宣告に等しい。
また、色々な業務を経験させることについて、「適性を探す」という大義名分もたまに聞こえてくるが、40を超えた職員に今更そんなもの必要なのだろうか・・・?10年以上も役所で働いてきた人間について、未だ適性を見いだせないとでも言うのだろうか・・・適性は生涯探すものなのだろうか・・・
うららかな春の日差しのなか、悠然と適性を探しに来た貴族職員に、あなたは何か相談できそうですか?