【書評】★★★★☆(72点)
この本を薦めたい方
今現在、自分の停滞を感じている方や、これから挑戦力を高めていきたい方によい本です。
人がどのような状況で力を得ることができるのか、また、あっさりそれを失うことがあるのか、はたまた、それはよく奪われているものであることを気づかせてくれます。
大切だと感じたところ
人は次のような毒を受けることで、前向きな行動ができなくなることがある。これは身近な関係の者であったり、上司であったり、為政者であることも多い。
3つの毒
これが出てきたら要注意です。発する人物からは距離を取るべきです。
- 罪悪感
相手を簡単に操りやすくする。
例「~~~してくれなくて、がっかりした」など - 絶望
ネガティブな思考を植えられ、まるでそれが一般的であるかのうに思い込まされる。職場などでよくありませんか? - 侮辱
まるで自分がランクの低い人間であるかのように巧妙に感じさせ、また、周りの人間にもそう見られていると感じさせる。
こういうイジメにあっていませんか?
ソクラテス
「神が人間を破滅に陥れようと思った時には、まず、その人物を傲慢な人間にする。そうすれば、後は破滅していくからだ」
卑屈さではなく、謙虚さを持って人に対峙し、見極めることが大切だと感じた。
雑感
この本の著者がスペイン人であるというから驚きだ。陽気に見える彼らも内実は同じようなことを感じており、陽気に見えるからには「しなる力」を会得しやすい文化なのかもしれない。
翻訳がやや固いため、最初の方は読みづらいかもしれない。が、書いてあることが至極まっとうなので、途中から気にならなくなる。
現代社会は高度にシステム化されていて、日本では特に自分の頭で考え、判断することをよしとしない風潮がある。また、人と違う意見は否定されがちで、そのような考えを持つ人間はなかなか自信を持つのが難しいと思う。私自身がそうだった。否定されるだけの半生でずいぶん落ち込み悩んできたものだった。
だが、今一度、事象と認知を切り離して考えてみてはいかがだろうか。この本自体は、具体的な手法について述べられているが、根本は他人の認知はあくまで他人の認知であって、そこに優位性などなく、自分の認知もいずれも、当人にとっては「是」であるということだ。
それを踏まえて、自分の感性を大切に守り、信じることが「しなる力」の根源になることと思う。
人間はなかなか折れない。この文章を読んでいること自体、折れきってしまうことができない証拠だ。しなろう。限界までしなれば、また弾ける。
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