あいの里 #02

リアリティショー

はじめに

今回は、epi09-12視聴後のレビューとなります。(epi01-08のレビューはこちらから

今回リリースされた4話でかなり風向きが変わり、ごくごく普通のリアリティショーに正常化されてきた。ふぅ。おばけなんてないさ~、おばけなんてウソさ~。

未視聴の方にざっと説明するとこんな感じ。(★★★★★=満点)

・epi01-04=★☆☆☆☆ 胸焼け(1.5倍速推奨)
・epi05-08=★★☆☆☆ 面白くなってキター?(1.5倍速推奨)
・epi09-12=★★★☆☆ そうそう、こういうの見たかった(1.25倍速推奨)

今回は、各カップルと新メンバーの印象について書いてみたいと思います。

おかよ&隼平

ハッピーエンドで良かった良かった。この二人に対して、私自身はとても心象距離が遠く、どうにもこうにも没入できない。原因はもちろん彼らではなく、私の問題だ。

倍速視聴していたのも悪いのだが、彼らのスピード感に心がついていかず、とにかく「すんげー不思議な人々」のように感じてしまうのだ。対話もなく、一緒にいる空気感や肌感みたいなもので惹かれ合った感じだろうか。すごく気が合っていればそういう展開もすんなり入ってくるのだが、チグハグな感じの二人がまとまったのは意外だった。

そもそもなのだが、私は人を好きになる能力がとても低く、「恋は事故みたいなもんやな」と突然の天啓のように感じているところがあって、同じ水槽に閉じ込められたとて、「外海はどんな?見たことないお魚いる?」と隔たれた世界への思いばかりを募らせてしまうタイプだ。

そのため、おかよが本気で恋をしていたとして、短期間でたいした燃料もないのに一気に昇華しちゃうあたりが「ほうほう・・・へぇ??」となってしまう。まぁ、おかよの人を好きになる才能には遠く及ばないということだろうか。

彼女には様々な表情があるにはあったのだが、一番印象に残っているのは卑屈な表情で、きっと私はこれがとても苦手なのだと思う。卑屈さのフィルターがかかっていると、行動の全てが胡散臭く思え、いつまでも彼女の印象がまとまらない。王道の少女漫画的展開をなぞりながらも、彼女に対してそこまでピュアという印象を最後まで持てず、結局よくわからないままだ。

隼平が返事をする朝のシーンも、やたら手ブレする臨場感演出が続く。ハサミを酒ちゃんに取ってきてもらうのはまぁ順当かもしれないが、最初から持っておくこともできただろうし、ゆうこりんが横に座っていたのも、意味深な一礼をしたのを含めて仕込み臭がプンプンする。複合的な要素と私の純粋な心が死んでいるために全く感動しなかった。そういや、ラーメンマンってメタモルフォーゼしてたよなぁとか画像を検索していた。

不器用なおかよを隼平が優しくフォローしていくなら、そのうち卑屈さも解けて素敵なカップルになりそうだ。

トッちゃん&酒ちゃん

丁寧に距離が近づいていく様子は自然体で、彼らは二人だけで通じる無形の物を、ときに細やかな贈り物に乗せ、他の誰よりも時間をかけてラリーしていた。

鐘を鳴らし、勇気を振り絞るトッちゃんはとてもカッコよくて素敵だった。彼女は初めてだったが、何度経験を重ねたところであの怖さに慣れることはない。この怖さを知っているのは、かけがえのない誰かを見つけることに成功し、心から真剣に向き合ったことのある人間だけだ。

翌日に長文で想いを返す酒ちゃんもまた良かった。彼が自分の世界に人を招くこと自体が既に革命的だと思う。良かった良かった。

ゆうこりん&たあ坊

いや~、面白かった。連続の鐘打ち鳴らしはなかったが、この二人のやり取りがとってもリアル。

完成しないアヒル小屋について、ゆうこりんが問いかける。私も彼女のような問いかけや観察をするタイプなので、興味深く見ていた。彼らの様子は、トッちゃんと酒ちゃんが相談しながらファイヤーピットを作っていたのとはまるで対照的だ。

「完成形が全然分からん」という指摘を受け、たあ坊は「設計図ないまま作りおる」と答えた。爆笑。ハイ、マイナス100点。DIYは計画がだいじだいじ。

あのショボい小屋の製作に既に1ヶ月を費やし、おそらくバカップルぶりと作業量の不均衡さに周囲からの視線も痛くなってきた頃で、勘のいいゆうこりんはそれをヒシヒシと感じてもいるだろう。そして、初期段階にはまだ隼平もいて設計の相談ができたはずだが、それがなされた様子もなく自由な試行錯誤をマイペースで続けるたあ坊・・・キツイ。よし、思考が似てそうなので私がアテレコしてみよう。彼女は問いかけの裏できっとこう思っている。

「完成形が全然分からん」=「ねぇねぇ君さぁ、私を部下じゃなくて共同作業者として認めるなら、勝手に完結させずに、まず設計と施工手順、そして工期を示してほしいんだけど。できないなら、私がサッと設計図作り直そうか?あん?」「ねぇねぇ君さぁ、困ってるなら強がらずにちゃんと相談してほしいんだけど」「あ~プライドでガードされちゃうとどうしていいか分からないなぁ・・・誰かを呼んだり解決案をサクッと出したら拗ねて面倒くさいことになりそうだしなぁ・・・失敗するまでやらせるしかないか~ウッザ」

ここまで口は悪くないと思うが、こんなところじゃないだろうか。まぁ、ゆうこりん自身も疑問や提案をぶつけてみればいいのだが、勘がいい人がこれを苦手なのもよく分かる。相手のプライドを傷つけることと、必要なことがぶつかったとき、どうしても一歩引いて様子を見るという保留期間を設けてしまうのだ。とにかくゆうこりんはジーッと観察している。

夕食を囲む他メンバーから進捗状況を尋ねられ、たあ坊は「全然、あと2日」とか答えてしまう。ゆうこりんは見ている。中さんが手伝い始め、それに対するたあ坊の態度も、ゆうこりんはジーッと見ている。彼女はずっとずっと観察している。この男は失敗を認められるか。この男は人に助けを求められるか。この男は頭を下げられるか。とにかく見ている。

向き合えない男、たあ坊

続いて興味深かったのが、ゆうこりんが深い対話を求めて一歩踏み込んだ場面だ。直前のインタビューで彼女は「私の何を知っているんですか」と訴えていた。好意が自分に向いているのは自覚しているだろうが、対話もしていない段階での好意は、魅力的な容姿で男性を惹きつけ続けてきただろう彼女を逆に不安にさせてしまうだろう。「私はあなたの理想のお人形じゃないけど、分かってる?」と。女性をお人形扱いする男性は、押し並べて女性への解像度が低く、希望の仕様が備わっていないと分かればあっさりと捨てたりもする。

二人きりで過ごしながら、顔色が曇っていく彼女のドレスをとりあえず褒め、「私ってどんな人間だと思う?」というゆうこりんの質問に、「お酒持ってきてもいい?」と逃げるたあ坊。

このときの彼女の心情を知る由もないが、私自身は、もうこの時点で「アウトーーー!!!」だった。この空気はすごく重かったと思うが、勇気を出して踏み込んだ直後に会話をかわされる、ブレイクを入れられるのは凄く傷つく。たとえお酒を持ってきた直後に話をしようとしていたとしてもだ。そういうテンションじゃない。大切な一瞬の空気と勇気は二度と戻らない。逃げてはいけないタイミングというものはある。私が同じことをされた場合は、もうこの時点で心が閉じ始めて見切り、二度と向き合おうとはしないかもしれない。話をそらすこと、実はこれは私の逆鱗だ。

とにかく空気に耐えられなかった彼は逃げた。ブレスレット事件でおかよを傷つけたと指摘されてアンチョビに即相談に行ったときと同じだ。彼は何か事が起こったときに、自分ひとりでしっかりと向き合い受け止める度量がない。

みな姉&中さん

順当な組み合わせだなと思いつつ、私は別のことを考えていた。この閉鎖空間における恋愛というものがうまく想像できなかったのだが、もしかしてこれは、小学生のときによくやられた「ハイ!二人一組になってくださ~い!!」圧なのかもしれないと思い至った。

気になる人が誰もいなければ、ユキえもんのようにプラプラしていてもルール上は問題ないのだが、なんとなく周囲がまとまり始めると、ずっと一人というのも心細く寂しくなっていき、これが恋探しの原動力になるのではないだろうか。こういう部分が、一人を取り合うようなリアリティショーとは心情が異なってくる大きなポイントのように思える。

二人が恋をしてもしなくても、色んな話をしながら、体験をシェアしていけたら素敵だと思う。

ユキえもん&アンチョビ

う~ん、ユキえもんは酔うとああいう距離感なのか。アンチョビ程ではなくとも男性は誤解するだろうなぁ。中さんと話すアンチョビを見て、視聴者は彼のインタビューを見ているからヤバさが分かるが、他のメンバーと話しているときは一見穏やかで人当たりがよく、見抜きにくいタイプかもしれないなと思った。

やっぱり私はユキえもんの愛情深さにジーンときちゃうんだよなぁ。友人に似ているという贔屓目ではあるんだけど。彼女のような明るいタイプは、何も考えていないように見せながら、すごく空気の調整に気を遣っていることが多くて、そういうところが素敵だなぁといつも思う。トッちゃんに四葉のクローバーを贈り、友愛を伝えるシーンは心がじんわりと温かくなった。彼女は分け与えられるぐらい大きな愛を持っている人だ。

今回まとめて二人のことを書いたが特別な意味はなく、二人はどうにもならないと思う。酔っ払ったユキえもんは彼を見つめすぎだが、彼女は発情はしても恋はしていないだろう。エピソードも後半に入ってしまったし、もしかしてこのまま好きな人見つからないんじゃないか?

人物雑感

中さん

清潔で爽やかな印象。四葉のクローバーを受け取りに戻ったり、サクッと嫌味なくDIYができたりとフットワークの軽さが魅力のひとつだ。トッちゃんの告白帰還後に、二人の食卓の配膳をとっさに気にしており、子育てや家事を普段からきちんとしていたような気配も好ましい。まだまだ未知数な彼だが、理想的なオジではないだろうか。やっぱり、清潔感だいじだいじ。DIYできる紳士、素敵だ。

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